横浜市立市民病院

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診療科・部門

形成外科(特に力を入れている疾患)

四肢リンパ浮腫(手足のむくみ)

リンパ浮腫とは
体にたまった老廃物を運搬するリンパ管が何らかの原因によりふさがり、皮膚や脂肪組織の間に体液がたまった結果、腕や脚にむくみ(浮腫)が生じた状態のことをさします。
生まれつきリンパ管やリンパ節の発育が悪いために全身のリンパ液を処理できずに発症する一次性(原発性)リンパ浮腫と、子宮がんや乳がん手術の際に、がん細胞のフィルターの役目を担うリンパ節を切除したり、放射線を照射したことで機能低下を起こして発症する二次性(続発性)リンパ浮腫があり、二次性リンパ浮腫が全体の80~90%を占めています。
リンパ浮腫の症状
リンパ浮腫の一般的な特徴は、皮膚の色の変化がない(左右差のない)、無痛性のむくみです。二次性リンパ浮腫では、手術後すぐに生じる場合もあれば、5年・10年経過して発症する場合があります。症状はゆっくりと進行することが多いので、適切な治療を行わずに放置したり、炎症を繰り返すことにより、皮膚の線維化が進行し、象皮症(ぞうひしょう)などを呈する場合があります。
リンパ浮腫の診断
問診や視触診により比較的容易に診断できますが、静脈性浮腫などとの鑑別や病期の評価を行う上ではアイソトープによるリンパ管造影(リンパシンチグラフィー)(図1)が有用で、国際リンパ学会でも推奨されています。当院で施行しているtwo-phase lymphscintigraphy(LSG)は、残存するリンパ管駆出機能(リンパ管平滑筋収縮能)やリンパ管内圧上昇に伴う弁不全(dermal backflow)などの2次的な変化を非浮腫側含めてダイナミックに捉えることが可能であり、病期診断のみならず後述する手術適応の有無や治療効果を判断する上でも非常に重要な検査となります。また、インドシアニングリーン(ICG)を使用した蛍光リンパ管造影(図3)は、近赤外線カメラでリアルタイムにリンパの流れを可視化できるため、リンパ管細静脈吻合術を行う上での機能的リンパ管のマッピングや術後吻合部の開存評価に有用です。

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図1 リンパシンチグラフィー(two-phase lymphscintigraphy)によるリンパ管機能評価.early phaseではリンパ駆出能を、late phaseでは弁不全(dermal backflow)などの2次的な変化を評価する

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図2 リンパシンチグラフィーによる重症度判定
重症度が上がるほどリンパ駆出能が低下している

 

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図3 ICG蛍光造影法による機能的リンパ管の同定法
切開せずに体表からリンパ駆出能が保たれたリンパ管の走行を観察することができる

 

リンパ浮腫の病期

リンパ浮腫は次のような病期に分類されています。
国際リンパ学会による病期分類
ISL0期:リンパ液の輸送に障害があるが、腫脹が明らかでなく、臨床的には浮腫を認めない状態。浮腫を認めるようになるまで数ヶ月から何年にもわたって続くことがある。
ISL1期:疾患の発症初期にあたる。比較的タンパク成分が多い組織間液が貯留しているが、四肢を上げることにより軽減する可逆性の時期。指で圧迫することにより圧迫の痕(あと)が残る。
ISL2前期:四肢の挙上だけでは浮腫が改善しなくなり、圧迫の痕がはっきりとする。
ISL2後期:指で圧迫しても圧迫の痕ができにくくなり、横になるだけではむくみの軽減もみられなくなり組織の線維化がみられるために軽快しない時期。
ISL3期:組織が硬くなり(線維性浮腫)、圧迫の痕は生じない。肥厚、色素過剰、皮膚の皺襞(しわ)の増生、脂肪沈着などの皮膚変化を生じる。

当科でのリンパ浮腫に対する治療

リンパ浮腫の治療には大きく保存的治療(理学療法)と、外科的治療(手術療法)の二つに分けられます。理学療法には用手的リンパドレナージ(マッサージ)、弾性包帯やストッキングによる圧迫、運動療法などがあります。リンパ浮腫に対するこれらの理学療法は一定の効果が得られる反面、効果を維持するためには治療を継続する必要があります。
リンパ浮腫に対する外科的治療は1900年代の初めから組織切除や直接的または間接的リンパ誘導法など様々な治療法が考案され試みられましたが、過大な手術侵襲や、不十分な治療成績などの理由により、多くの外科的治療法は浸透するに至っていません。一方、最近の形成外科領域における超微小(血管)外科(supermicrosurgery: 0.8~0.3mmの血管吻合)の技術と手術器具の進歩によって、従来の外科的治療を上回るリンパ管(細)静脈吻合術(lymphatico-venous anastomosis: LVA)が開発され、本邦の多くの施設で行われるようになりました。リンパ駆出能が比較的良好に保たれている軽症例においては、リンパ管と静脈内との間にバイパスを作製することで理学療法より効率よくリンパを静脈内へ還流させることが可能となり、手術単独での効果が期待できますが、リンパ管機能が低下している中等症から重症例では術後も圧迫療法の併用が必要となります。当院では平成18年6月から開始し、現在では年間約70~80件の手術を入院局所麻酔または全身麻酔下で行っています(手術実績をご参照ください)。

手術の効率化を図るため、まず手術に先立ちICG蛍光造影によるリンパ管のマッピング、超音波検査による吻合静脈のマッピングを行います(図5)。治療を奏功させるためには、リンパ駆出能が残存している集合リンパ管を探し出すだけでなく、リンパを還流させる静脈の口径や走行を事前に把握することが非常に重要となります。
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図5 リンパ管(赤ライン)と静脈(黒ライン)の術前マッピング

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図2 リンパ管静脈吻合術の手術時の様子

手術では手術用顕微鏡(図2)を用いて、皮下脂肪の間にある集合リンパ管と近傍の細い静脈をつなぐ(吻合する)ことで、リンパ管から静脈への逃げ道(バイパス)を作製し、貯留したリンパ液を静脈へ回収させるようにします(図3,4)。吻合方法には端々吻合、側端吻合の2種類があります。前者は貯留したリンパがすべて静脈内に流入するため排液効率の高い吻合形式ですが、吻合部閉塞時にはリンパが完全に途絶するため手術前より悪化する懸念があります。後者はリンパ管自体の流れを温存しながら静脈へのバイパスを作るため、吻合部閉塞時のリスクが少ない吻合形式ですが、端々吻合と比べて排液効率はやや低下します。治療効果を上げるためには複数個所での吻合が望ましいですが、長期的にみると一定の確率で吻合部が閉塞することがわかっているため、やみくもに吻合するのではなく、病状に応じて吻合形式や吻合部位、吻合数などを決めていくことが長期的な治療戦略を練る上でも重要となります。

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図3 リンパ管静脈吻合術のシェーマ

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図4a リンパ管(上)と静脈(下)

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図4bリンパ管細静脈吻合術

色素で青く造影されたリンパ管の側壁に穴をあけ、切断した静脈の断端を径0.05mmの縫合針で縫合し、リンパ管から静脈への逃げ道(バイパス)を作製する。

当科では治療効果を判定するために、術後6ヶ月以降で随時ICG蛍光造影やリンパシンチグラフィーによる吻合部開存評価およびリンパ管機能の再評価を行いながら追加吻合の可否や弾性着衣の着脱の可否について検討していきます(図5)。リンパ管輸送機能が良好な場合は、持続的な圧迫療法が不要となったり、術後の弾性着衣が不要となる完治例も散見されますが、多くの場合は術後の圧迫療法の併用が必要となります。

左下肢続発性リンパ浮腫
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図5 リンパシンチグラフィーによる術後評価
左大腿近位内側に認めていた弁不全(dermal backflow)が術後には消失している。

リンパ管細静脈吻合術の限界

リンパ管細静脈吻合術(LVA)は、リンパ浮腫を発生してから日が浅く、リンパ管輸送機能が残っている患者さんでは非常に効果が高いことが分かっています。
一方、リンパ浮腫を発生してから経過が長く、リンパ管の機能が著しく低下している場合は、リンパ管細静脈吻合を行っても、吻合部を介して静脈に流入するリンパ流が少なく、治療効果も低いと考えられています。その原因として、リンパ管の線維化が考えられています。太いリンパ管にはもともとリンパ管の壁に筋肉(平滑筋)があり、これが収縮することによってリンパ液をスムーズに運搬しています。しかし、リンパ液が停滞した状態が続くと、リンパ管の周りに徐々に線維化が起き、リンパ管自体が狭くなるのに加えて、平滑筋の機能低下により、十分にリンパ液が流れない状態になります。

新しい手術療法の取り組み

既に述べたリンパ管静脈吻合術の限界を克服するため、いくつかの新しい手術が試みられています。
血管柄(へい)付きリンパ節・リンパ管移植
これらはフランス、日本の施設で行われています。「血管柄付き」とは移植する組織の動脈と静脈を移植する部位でつなぐ事により、生きた状態(組織に血液が流れている)で組織を移植することです。つまり、他の部位から、生きたリンパ節やリンパ管を移植してリンパ浮腫を治療しようというもので、2006年のフランスでの治療報告では乳癌術後の上肢リンパ浮腫にリンパ管、リンパ節移植を行い6例中5例で治癒が得られています。
当院では、平成24年6月の倫理委員会において「重症化した四肢リンパ浮腫患者に対するリンパ管-静脈吻合付き遊離リンパ節移植によるリンパ流路再建術」が承認されました。
今後は従来の方法で十分な効果が得られなかったり、病期の進行した難治性リンパ浮腫の患者さんに対して積極的に取り組んでいきたいと考えています。

弾性着衣の保険適応について

平成20年度診療報酬改定により、医師の指示に基づき購入する弾性着衣(スリーブ・ストッキングなど)が年に2回計4セットまで(1回の購入2セットまで)を療養費として申請することが認められるようになりました。
申請の手順
1:加入している保険(国保・社保・政管)の窓口に、 療養費支給申請書を取りに行っていただき、必要事項を記入します。
2:主治医に 弾性着衣等装着指示書を作成してもらいます。
3:購入した弾性着衣などの 領収書を発行してもらいます。
4:以上の必要書類を揃えて、加入している保険の窓口に提出します。2~3ヶ月の審査期間の後、支給決定通知が郵送され、1週間ほどで該当金額が口座に振り込まれます。

眼瞼下垂症

正面を見たとき、まぶたが黒目にかぶさり視野が妨げられる状態です。加齢による皮膚のたるみを合併するケースも多く見られます。眼瞼挙筋(まぶたを挙げる筋肉)と瞼板(軟骨)とをつなぐ腱膜が外れた状態を「腱膜性眼瞼下垂」と呼んでいます。これはアトピー性皮膚炎・花粉症などのアレルギーにより目をこする、老化などが要因で、近年増加しているものです。また最近はコンタクトレンズの長期装用が原因の眼瞼下垂も増えています。さらに眼瞼下垂は、眼瞼挙筋の緊張によって眼痛を生じさせたり、交感神経が支配しているミュラー筋が緊張を続ける結果、慢性の頭痛、肩こり、疲労を引き起こしたりする事があります。
一般に眼瞼下垂の治療としては手術が行われます。手術には(1)眼瞼挙筋短縮術(2)筋膜吊り上げ術、などがあり、原因と程度により方法が異なります。(2)に関しては、手術後に再発を繰り返す場合や先天的に筋の機能が著しく低下している場合に行っています。

陳旧性顔面神経麻痺に対する薄層前鋸筋移植術

顔面神経麻痺はその発症原因によって耳鼻科医、神経内科医、脳外科医など様々な診療科で扱われる、日常的に比較的よく遭遇する疾患ですが、急性期の機能不全のみに目が向けられ、慢性期の機能異常である「顔面のこわばり(顔面拘縮)」や「口の動きに連動して瞼が閉じる(病的共同運動)」などの後遺症に悩み、苦しんでいる患者さんは決して少なくないのが実情です。
当科での治療の対象は、Bell麻痺や耳下腺摘出後に発症した末梢性顔面神経麻痺や脳腫瘍術後などに発症した中枢性顔面神経麻痺や先天性顔面神経麻痺など全ての顔面神経麻痺で、主に急性期を過ぎた亜急性期から慢性期の方が治療対象となりますが、治療の結果生じた後遺症についても症状に応じた最適の治療を行うように心がけています。
顔面神経麻痺に対する外科的治療

聴神経腫瘍、耳下腺腫瘍などの腫瘍切除後、頭部外傷後、ベル麻痺やハント症候群において保存的治療によって十分に改善が得られない場合(陳旧性顔面神経麻痺)や先天性顔面神経麻痺は、麻痺の程度に応じて様々な形成外科的な手技を用いて改善を図ります。症状としては、眉毛下垂による視野狭窄、兎眼(瞼が閉じられない)、下眼瞼外反(などの眼症状のほか、口唇挙上運動が障害され、安静時、口唇運動時における口唇の非対称性変形を生じます。これらの変形は外見だけでなく咀嚼、構音にも影響を及ぼしQOLの低下を招きます。
当科は慶応義塾大学病院形成外科顔面神経麻痺再建チームの一員となっており、難治例については隔月の専門外来・カンファレンスにより治療方針をたて、必要に応じて再建チームによる手術を行います。

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再建手術は発症からの時期、年齢、麻痺の程度などにより総合的に判断していきますが、大きく分けて安静の状態での顔面の対称性をはかる静的再建術と、閉瞼(眼を閉じる)・笑いなどの顔面の表情筋運動の回復を目的とする動的再建術とに分けられます。
また回復期(慢性期)におけるリハビリテーションも治療の一環として重要となります。

動的再建術

発症から1年以内…神経再建

耳下腺腫瘍切除後などで顔面神経を切除した場合でも、早期に神経移植を行うことで改善が見込まれます。脳腫瘍術後や頭部外傷後に発症した中枢性顔面神経麻痺においては、損傷した側の顔面神経再建では改善は望めませんが、舌下神経や咬筋(三叉)神経など他の運動神経を用いることで回復が期待できます。特に注目すべきは、脳の可塑性(cerebral adaptation)により、顔面神経以外の神経、例えば咬筋神経の場合、比較的早期から咬合運動なしの口唇挙上が可能となることです。また、術後の異常連合運動を予防する目的で、顔面の上半分は三叉神経、下半分は舌下神経からの二重支配(double innervation)となるように神経再建を行ったり、神経移植に筋膜移植を併用することで早期社会復帰を目指すようにするなどの工夫を行っています。

発症後1年以上…遊離筋肉(前鋸筋)移植

発症して1年以上経過すると、表情筋が脱神経性萎縮に陥った状態となり、神経再建では回復の見込みがないため、筋肉を移行または移植する手術が必要となります。
閉瞼するためには、側頭筋とその筋膜の一部を用いる側頭筋移行術を、頬が動かず笑えないことに対しては、遊離筋肉移植による 自然な笑いの再建を積極的に行っています。正常では、複数の表情筋が協調しあって様々な笑いを作りだしています。われわれは、もともと複数の筋束が独立し、表情筋のように薄い前鋸筋(肋骨と肩甲骨をつなぐ骨格筋)に注目し、麻痺の程度や顔の大きさ、笑い方に合わせて2~3本の前鋸筋の表層を採取して、異なるベクトルで筋肉を移植する薄層前鋸筋移植による表情筋再建術を開発しました。採取する筋肉は非常に薄く採取するため、切除した部分に大きな犠牲を残しません。当初行っていた方法は、失われた笑いをより自然に再獲得できる点ですぐれているものの、採取できる神経の長さが短いことにより、咬筋神経という顔面神経ではない運動神経につなぐため、咬む動作でしか笑いがつくれず、健側(麻痺していない側)と同調した笑いが困難となる欠点がありました。そこで最近では咬筋神経に加えて、健側の顔面神経との神経縫合を付加することにより、左右同調した、より自然な笑いの再建が可能となりました(double innevation法)。

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図:薄層前鋸筋移植による笑いの再建

採取した筋肉は2~3方向に分割し、健側の表情に合わせて上口唇、口角、下口唇にそれぞれ異なるベクトルで移植固定します。従来の方法では1つの筋肉を内側のみ2つに分割して上口唇と口角に固定するため、口角がつりあがるような不自然な笑いとなっていましたが、本法では内側だけでなく外側も分割できることで筋肉の自由度が高まるため、口角が外側に引かれ、上口唇が斜め上に引きあがる、より自然な口唇の運動が再現可能となりました。また、移植する筋肉が薄いため、複数の筋肉を移植してもボリューム過多になることが少なくなりました。

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顔面神経麻痺再建の国際Instructional Courseでのライブサージャリ―

2011年10月25日~31日に開催されたChang Gung・Mayo再建外科シンポジウムのPre-Congress Workshopとして、10月24日~26日の3日間で林口(台湾 台北市郊外)のChang Gung Memorial 病院で行われた、顔面神経麻痺再建の国際Instructional Courseにおいて、ライブサージャリ―を行ってきました。2日間に渡って計8名の供覧手術を行い、同時中継された別の会場で術式の討論を行うというものであり、日本からは我々慶応義塾大学再建チーム(田中、佐久間、清水)、杏林大学チームが招待されました。我々は、顔面神経片側完全麻痺患者に対して、神経血管柄付き遊離薄層前鋸筋移植による表情筋再建術を行いました。

静的再建術

麻痺の症状に対して皮膚を切り取ったり、筋膜(筋肉を包んでいる薄い膜で、太ももの筋膜が主に用いられる)や糸などの動かない組織を使ったりして顔面の左右のバランスをとる手術です。例えば、上まぶたの垂れ下がりに対して上眼瞼の皮膚を一部切り取ったり、眉毛の垂れ下がりや下口唇の変形等に対して筋膜などを額や下口唇に移植して吊り上げます。動的再建のように動きを再現することはできませんが、範囲によっては外来局所麻酔下で行うことが可能です。

回復期(慢性期)における治療

自然回復または外科的治療によって神経再支配が行われた場合、神経の迷入再生により病的共同運動や顔面拘縮が出現します。このような後遺症に対しては、まず表情筋に対する伸長マッサージや脳の可塑性を利用したリハビリテーション(ミラーバイオフィードバック法など)を行いますが、症状の改善が乏しい場合は、ボトックスの局注療法や表情筋部分切除術(拘縮や病的共同運動の原因となっている表情筋)、神経移植術などを適宜組み合わせて行っていきます。

関連学会での顔面神経麻痺に関する発表
  • 第60回日本形成外科学会総会・学術集会(2017.4)
    ・佐久間恒,田中一郎,矢澤真樹:複数の表情筋ベクトルを考慮した薄層前鋸筋移植による笑いの再建
  • 第22回日本形成外科手術手技学会(2017.2)
    ・佐久間恒,田中一郎,矢澤真樹,清水雄介:遊離神経血管柄付き筋移植(薄層前鋸筋弁)を用いた,よりきれいで正確な顔面神経麻痺再建法の詳細,コツ
  • 第67回慶浜耳鼻科研究会特別講演会(2016.12)
    ・佐久間恒:顔面神経麻痺に対する外科的治療
  • 第38回日本顔面神経学会 (2015.6)
    ・佐久間恒,田中一郎,清水雄介:
    陳旧性顔面神経麻痺に対する薄層前鋸筋移植-顔面神経と咬筋神経による神経2重支配-
    ・田中一郎,佐久間恒,清水雄介:
    陳旧性顔面神経麻痺に対する遊離筋肉移植術における、運動神経としての咬筋神経の有用性と問題点の検討
    ・田中一郎,佐久間恒,清水雄介:
    陳旧性顔面神経麻痺の神経再建術における咬筋神経の有用性と問題点の検討
  • 第58回日本形成外科学会総会・学術集会(2015.4)
    ・田中一郎,佐久間恒,清水雄介:
    顔面神経麻痺再建における咬筋神経の有用性と問題点の検討
    ・田中一郎,佐久間恒,清水雄介:
    顔面神経麻痺に対する、急性期や早期例、陳旧例、後遺障害における治療戦略
  • 第41回日本マイクロサージャリ―学会学術集会 (2014.12)
    ・佐久間恒,田中一郎,清水雄介:
    陳旧性顔面神経麻痺に対する薄層前鋸筋移植 double innervationの試み
  • 第37回日本顔面神経学会 (2014.5)
    ・田中一郎,佐久間恒:
    先天性顔面神経麻痺による摂食障害に対する、両側口唇部への遊離筋肉移植術
【論文】

1)佐久間恒,田中一郎:【顔面神経麻痺の治療update】複数の表情筋ベクトルを考慮した薄層前鋸筋移植による笑いの再建.PEPARS 92:69-77,全日本病院出版会,2014.
2)田中一郎,佐久間恒:【顔面神経麻痺の治療update】咬筋神経を利用した顔面神経麻痺の再建.PEPARS 92:pp20-27,全日本病院出版会,2014.
3)田中一郎,佐久間恒: 【顔面神経麻痺における眼瞼部の治療】顔面神経麻痺による眼瞼部麻痺に対するわれわれの治療方針.形成外科 57:465-472,2014.
4)佐久間恒,田中一郎:顔面神経麻痺に対して咬筋神経・舌下神経交叉神経縫合術に筋膜移植を併用した一例.Facial N Res Jpn. 32:177-178、2012.
5)田中一郎,佐久間恒:薄層前鋸筋移植術による顔面神経麻痺の機能的表情再建.エキスパート形成再建外科手術 ひと目でわかる術式選択とテクニック.光嶋 勲編.pp120-133,中山書店、2010.
6)佐久間恒,田中一郎:陳旧性顔面神経麻痺に対する神経血管柄付き薄層前鋸筋移植-より自然な笑いの再建-.Facial N Res Jpn. 29:114-116, 2009.

腹壁瘢痕(ふくへきはんこん)ヘルニア

開腹手術の後などにおなかの一部分が膨れた状態になることをいいます。おなかには内臓を包むしっかりとした筋肉の壁(腹壁)がありますが、うまく癒合しないとその隙間から腸などの内臓が出て、皮膚には被われているものの膨らんだ状態(ヘルニア)になります。症状は腹部膨隆、便秘などで、腸が筋肉の隙間に挟まったまま戻らなくなる血行障害をきたす嵌頓(かんとん)ヘルニアでは腹痛、嘔吐などの症状が出現し、緊急手術が必要となることがあります。
治療は外科的手術が必要となります。一般的に単純に筋肉を縫い寄せた場合、40~50%が再発するといわれており、国内ではメッシュという人工の膜を移植して閉鎖するのが主流です。当科ではヘルニア門(筋肉の隙間)の部位や大きさによって、修復方法を決めています。小さなヘルニアでは、主にメッシュを用いた修復を、大きなヘルニアではComponents Separation Technique(CST)による修復を行います。CSTは、3層ある外側の腹筋の1層目を切開して、2層目と3層目の腹筋を内側にずらすことで欠損した腹筋の縫合を可能とする、より生理的で再発の少ない方法です。
図2 腹壁瘢痕ヘルニアに対するComponents Separation法

褥瘡・難冶性皮膚潰瘍

糖尿病や動脈閉塞性疾患のような血管病変や、膠原病などの自己免疫疾患を基礎疾患に持つ場合、末梢循環障害により潰瘍ができやすく、傷の治りが悪く難治性潰瘍となります。
生じた組織欠損に対しては基礎疾患の程度、全身状態、潰瘍の状態、感染の有無、年齢などを考慮して、保存的治療あるいは外科的治療を行います。(実績:18件/年)

顔面・四肢先天異常

副耳・耳瘻孔・折れ耳・埋没耳などの耳介の先天異常、先天性顔面神経麻痺・眼瞼下垂などの顔貌の異常、合指症や多指症などの四肢先天異常などに対して、整容面だけでなく機能面も十分配慮した手術的加療を行なっています。(実績:26件/年)

瘢痕・瘢痕拘縮・ケロイド

いわゆる「傷あと」や「ひきつれ」の修正を行います。 ついた傷は一生消えることはありませんので、その傷が目立ちにくい傷になるようにZ形成、局所皮弁、植皮術などの形成外科的手技を用いて機能的、整容的に治療を行っています。 手術だけでなく術後のテーピングや、圧迫固定による後療法なども治療の一貫として重要となります。 ケロイドでは、いたずらに切除を行えばさらに緊張が増し、再発しやすいのでステロイドテープなどによる手術を行わない治療を行っています。(実績:30件/年)

皮膚腫瘍・母斑・血管腫

粉瘤、脂肪腫などの皮膚・皮下腫瘍や生まれつきのアザやホクロ(黒子)などです。 顔面など露出部のものが多く、整容面に十分配慮して手術を行っています。 また、できる限り病理組織診断による組織検査を行うようにしています。(実績:130件/年)

色素沈着症(シミ、ニキビ跡、外傷後色素沈着等)

色素沈着症とは、皮膚におけるメラニン色素の増加した状態をさします。
シミや外傷後色素沈着、ニキビ跡などが当てはまりますが、これらの色素沈着に対して、当科ではトレチノインジェル・ハイドロキノン軟膏によるホワイトニング治療を行っております。 トレチノインジェルには表皮内のメラニン排泄を促進する作用が、ハイドロキノン軟膏には新しいメラニン産生の抑制する作用があります。
具体的には、これらの薬剤をご自身で、夜洗顔後に塗布していただきます。
治療期間は平均3ヶ月で、個人差はありますが、ある程度色素が薄くなることが見込まれます。
治療開始後早期(1~2週間)は、発赤・乾燥など反応がでやすいため、スケジュールに余裕のあるときに始められることをお勧めします。
保険外診療となりますので、下記の費用がかかります。

~主な費用~
初診料: 2,700円
再診料: 700円
5%ハイドロキノン軟膏(10g) 1,500円
0.1%トレチノインジェル(10g) 1,500円

その他

体表の化膿性・炎症性疾患などが含まれます。なかでも陥入爪は多くみられる疾患で、日常生活の注意事項の指導や保存的治療だけでなく、フェノール法による痛みの少ない外科的治療を日帰り手術で行っています。