当院では、生活習慣病予防啓発の一環として、横浜の企業様及び店舗様と協同で料理教室を企画し開催しております。 このたび、より広くみなさまに関心を持っていただくため、ホームページでも健康レシピを紹介することとしました。 このページは、料理のレシピや栄養のアドバイスだけではなく、健康や横浜をテーマにしたシェフのコラムも掲載し、市民のみなさまと一緒に作るページを目指しております。今後も季節ごとにレシピを追加していきますのでお楽しみに!
入院中にこそ、おいしいものを食べてほしい。
そんなシンプルな気持ちから、横浜を代表するフランス料理店 霧笛楼と、横浜市立市民病院が共同で開発をした、野菜だけで作ったコンソメ風スープ。
安心安全、塩分ひかえめ、しかもおいしい。術後の方や赤ちゃんもお召し上がり頂けます。
市民病院では、手術や病状により絶食が続いた方などに提供します。
体に「優しい美味しさの・野菜スープ」が
出来上がりました。
2016年10月のことでした。横浜市立市民病院の医師や管理栄養士の方から、「病院食として、植物性食品だけの横浜らしいおいしいスープの指導をお願いできますか?」との相談を受けました。市民病院の方々の「食」への取り組みと患者様を思う気持ちや、私自身の新たな挑戦からお引き受けしましたが、実際どのように美味しさを表現すればよいのだろうかと迷いました。
ある時、3度の手術と10日間の飲食ができないほどの大病を患っていた妻が、退院後に私が作るコンソメスープを何よりも楽しみにしていたのを思い出しました。これが大きなきっかけとなり、植物性の食材の種類や特性について丁寧に見直していきました。
お召し上がり頂く患者様が喜び、早く元気に回復してほしいとの願いを込めながら、試作を重ねていきました。その結果、体にとって「優しい美味しさ」を表現することをテーマに、「海・山の植物性食品の旨み成分と畑の恵み」を用いた植物性食材だけのスープが完成いたしました。
今回の最大のポイントは、香味野菜の配合のバランスとそれぞれの特徴を活かした切り方、また一定の温度を保ちながらの「丁重な煮方」でした。更に火を止めてから蓋をして、30分間そのまま放置することによる浸透圧で、まろやかさをじっくりと抽出いたしました。フランス料理で使用するシャンピニョンやローリエの香りと国産の昆布と椎茸との旨み成分の相性は、和と洋が調和する横浜らしさであり、体の中から喜んで頂ける「優しい美味しさ」の「野菜スープ」です。何度も話し合いや試作を重ね、調理員の皆様に一生懸命お作り頂き完成いたしました。
患者様には蓋付きでご提供させて頂きますので、その香りと共にお召し上がり下さい。また今後におきましても、和、洋、中、パティシエなど「横浜の食」を担う皆様にも是非、「横浜の味の底力」をアピールして頂けたらと心より願っております。
監修/調理指導
特定非営利活動法人・横浜ガストロノミ協議会理事長
霧笛楼取締役・総料理長
今平 茂氏
医食同源という言葉がありますが、毎日しっかりと食事をとることは病気の予防や治療にとって大事なことです。
特に、病気の治療中でも「自分の口から食べる」ということは非常に大事な行為です。
口から食べることは、単なる栄養補給ではありません。唾液の分泌を促進し、口腔内を清潔に保つことにも非常に有効です。
また、食事を味わうことで喜びや満足感が生まれ、精神的に安定します。そのことが生きる力につながり、治療効果も大きくなります。
これまで、横浜の名店「天吉」および「横浜ガストロノミ協議会」の皆様には、健康レシピの発行や生活習慣予防啓発活動を通して、多大なるご指導・ご協力をいただきました。
そうした活動をさらに発展させ、このたび、「霧笛楼」のご指導の下、患者さんにやさしいスープを提供できることになりました。
患者さんには治療中こそ美味しいものを食べ、一日でも早く回復していただきたいと願っています。
久しぶりに口にした料理に「美味しい」と感じ「明日もまた飲んでみたい」と思って頂きたい…そんな思いからこのスープ作りは始まりました。
病気や手術などでしばらく食事を摂ることができなかったかた、体力も気力も弱ってしまい流動食しか食べることができないかたから、アレルギーなどで動物性食品が使用できないかたや離乳食にも使えるように、野菜・きのこ・昆布だけを材料に使い、野菜の旨味をたっぷり詰め込みながらも塩分を控え、香り高く、おなかにも心にも優しい味にできあがりました。限られた材料や調理条件のなかで、和と洋を融合させた、横浜らしい美味しさのスープをご教授くださった、霧笛楼の今平総料理長と高田料理長には、心から感謝しております。
このスープを契機に、これからも今まで以上に料理をとおして、患者さんに元気の素をお届けしていきたいと思っております。
今回のお話を頂いてから霧笛楼の今平総料理長および病院職員の皆さんと試作を重ね、やっと患者さんにご提供できる日を迎えられ、とても嬉しく思います。
今までのスープの概念を覆す完成度の高さに驚きました。例えば、数種類の材料を増やしただけでこんなにも風味が増し、野菜の切り方を変えるだけで野菜の甘味が口の中に広がるなど、私自身、驚きと新しい発見でワクワクしながら参加させていただきました。
スープ・ドゥ・レギュームは野菜・きのこ・昆布の旨味と香りを引き出し、塩だけで味付けしたシンプルな素材のスープですが、他に何か特別な材料が入っているのではないかと疑うほどの美味しさです。
患者さんが手術後初めて口にするお食事に幸せを感じていただく瞬間を思い描きながら、従業員一同、心を込めて調理させていただきます。
市民病院では、平成26年秋から生活習慣病予防啓発活動の一つとして、横浜の名店シェフの方々と「健康レシピとシェフのコラム」という印刷物を手作りで制作しています。患者さんからの御好評を受けて、累計発行部数は12,000部を超えました。
このたび、地元の方々の多大なる御厚意にて、原作と同様な制作を基本とし、内容をさらに充実させたレシピ集を神奈川新聞社より発刊いたします。
おいしさだけにとどまらない、「食」をとおした「横浜」の魅力が伝わる一冊です!
書籍の概要
【著者】 横浜市立市民病院
【発行】 神奈川新聞社
【発刊日】平成31年2月9日(土)
【定価】 1,700円(税別)
【仕様】 A4判フルカラー 178ページ
※お近くの書店または市民病院にてお買い求めいただけます。
休診日
土曜、
日曜、国民の祝日、
年末年始(12月29日〜
1月3日)
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