狭心症・冠動脈疾患とは、冠動脈の内側にコレステロールなどが溜まり、血管が狭くなることで血液の流れが悪くなるためにおこる疾患です。心臓は全身に血液を送るポンプの役割を果たしており、冠動脈が狭くなることで血流が悪くなり、十分な酸素や栄養が送れなくなると、締め付けられるような胸の痛みや圧迫感があらわれます。ただし、胸の痛みや圧迫感のような典型的な症状があらわれないこともあり、息切れのような症状の方や無症状の方もいらっしゃいます。また、アテロームが破綻することで血栓が集まってくると、生命を脅かす危険性のある急性心筋梗塞になることもあります。
狭心症の症状として、最も典型的な症状は締め付けられるような胸の痛みです。症状は前胸部にみられることが多いですが、みぞおち、のど、あご、左肩などに症状がおこることもあります。また、胸の痛みと同時に、冷や汗や吐き気、息苦しさなどを伴うこともあります。
運動をしながら心電図を観察します。医師が必ずそばに付きながら、安静時と負荷時の心電図変化をみて、狭心症の診断や治療効果の判定を行います。
心筋に集積する放射線を出すアイソトープを注射し、心臓の血流をみることができます。安静時と負荷時の血流を比較することで、狭心症の診断や治療効果の判定を行います。
心臓のまわりを走行する冠動脈の狭窄・閉塞を診断し、プラークの性状や石灰化の評価を行います。腕の静脈から造影剤を注射してCT検査を行い、撮影時間は15-20分ほどです。
FFR-CTは冠血流予備量比 (FFR) をCT画像から解析することで、冠動脈の狭窄と血流を同時に評価できる新しい検査法です。FFR-CTは、心臓CT画像をもとに冠動脈デジタル3Dモデルを作成し、冠動脈の狭窄が血流に与える影響を数値流体力学により解析するプログラムです。国内では2018年12月に保険収載された検査法で、当院では2021年4月に導入しました。2022年5月現在、FFR-CTを実施している医療機関は、認定を受けた数少ない施設のみであります。
狭心症の治療には、経皮的冠動脈形成術(PCI)や冠動脈バイパス術(CABG)などがあります。細い風船がついたバルーンカテーテルを狭窄した冠動脈で押し広げて拡張した後に、網目状のステントと呼ばれる金属を植え込んで冠動脈を拡張するという治療が、経皮的冠動脈形成術(PCI)です。
画像提供
ボストン・サイエンティフィックジャパン
株式会社
高度な石灰化病変に対しては、先端に人工ダイヤモンドの粒子を散りばめられた紡錘形の金属チップ(burr)を高速回転させて石灰化の強い病変部を削り取るロータブレーターなどを用いて、治療を行うこともあります。
狭くなった血管や詰まっている血管の先に動脈(内胸動脈など)や足の静脈(大伏在静脈など)を用いてバイパスする手術が、冠動脈バイパス術(CABG)です。患者さんの冠動脈の状態や全身状態、併存疾患など様々な要素を循環器内科・心臓血管外科で検討し、最適な治療法を選択・決定していくことになります。
胸の痛みや息切れなどがあり、狭心症が心配ということであれば、受診いただくことが可能です。また、ほかの病院やクリニックで狭心症の診断がついている方で、今後の治療方針を相談したいということでも問題ありません。ぜひ、お気軽に御相談ください。
解説
循環器内科 部長 新村 大輔
休診日
土曜、
日曜、国民の祝日、
年末年始(12月29日〜
1月3日)
PAGE
TOP