体制（2025年1月現在）

• 今井一章
  （婦人科内視鏡手術センター長、医学博士、産婦人科内視鏡技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医日本婦人科腫瘍学会専門医、日本婦人科ロボット手術学会認定プロクター良性・悪性）
• 石寺由美
  （産婦人科内視鏡技術認定医、日本婦人科腫瘍学会専門医）
• 廣岡潤子
  （産婦人科内視鏡技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医）
• 小澤雅代
  （産婦人科内視鏡技術認定医、日本婦人科腫瘍学会専門医）

が主なスタッフとして診療にあたっています。

診療概要

婦人科内視鏡手術センターは2014年4月より、安全で高度な低侵襲手術（主に腹腔鏡手術やロボット支援下手術）を患者様へ提供することを目的として開設されました。

ー 婦人科良性腫瘍（子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症、異形成など）

当センターでは、他院では低侵襲手術の対応困難な婦人科良性腫瘍（巨大子宮筋腫、頸部筋腫、子宮腺筋症や子宮内膜症など）に対しても、ほぼ全例にロボット支援下手術で対応しています。また患者さんの疾患や状態（骨盤内手術既往なし、重症子宮内膜症なし、複数回の帝王切開歴なし etc）に応じて、腹部に傷のないvNOTES（腟式自然開口部経管腔的内視鏡手術）をロボット支援下、腹腔鏡下で積極的に行っております。当センターの研究では、ロボット支援下によるvNOTESは、通常のロボット支援下手術（5㎜～1cm程度の傷が５つ）よりも術後QOLが良好で、特にvNOTESでは、術後2週間で9割以上の患者さんが、完全に回復しております（Imai Kazuaki, et al. Eur J Obstet Gynecol Reprod Biol. 2023）。

ー 婦人科がん（子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん）

婦人科がんに対しても、ロボット支援下、腹腔鏡下手術を積極的に導入しています。婦人科がんは骨盤から傍大動脈領域という広範囲なリンパ節摘出（リンパ節郭清）が必要になることがあります。従来の開腹手術では、恥骨から上腹部に至る長大な皮膚切開が必要となります。そのため、術後疼痛などにより社会復帰に時間がかかり、腸閉塞の合併症も増えてしまうため、患者さんの術後QOLが損なわれます。

当センターでは、以前より腹腔鏡下傍大動脈リンパ節郭清術（後腹膜鏡下）を実施しています。腹腔鏡下傍大動脈リンパ節郭清術、特に後腹膜鏡下傍大動脈リンパ節郭清術は、開腹手術と比較して、小さな傷、少ない出血、早い術後回復、腸閉塞の減少など患者さんに多くのメリットがあります。

そのため、子宮体がんに対しては、リンパ節郭清術も含めてほぼ全例でロボット支援下、腹腔鏡下手術で対応しており、早期子宮頸がんに対する広汎子宮全摘術も腹腔鏡下に実施しております。特に今後妊娠を希望される女性に対しては、患者さんの状態に応じて子宮を温存する広汎子宮頚部切断術も腹腔鏡下で対応しており、ご相談の際には、婦人科初診外来を受診して下さい。

卵巣癌に対しては、自由診療にて院内の倫理委員化の承認のもと、腹腔鏡下卵巣がん根治手術も行っています。また近年、進行卵巣癌への抗がん剤治療後に対する腹腔鏡下腫瘍減量術：IDS（interval debulking surgery）の有効性が報告されております。これらに対しても自由診療にて腹腔鏡下手術を施行しておりますが、今年度には先進医療Aとして開始される予定です。日本産科婦人科学会のホームページをご参照下さい（https://www.jsog.or.jp/medical/9499/）。

また、2020年11月からロボット支援下手術を開始しました。早期子宮体がん根治術（リンパ節郭清術を含む）、良性子宮全摘術、骨盤臓器脱に対するメッシュを用いた仙骨膣固定術が保険適応となっており、導入から今日に至るまで、約1000例のロボット支援下手術を施行し、今後も手術数が増加していくものと考えています。

当院は令和2年5月に新病院に移転しました。新病院では手術室が増え、これまで以上に多くの手術を行うことができるようになりました。他院では対応が困難な巨大な子宮筋腫や、強い癒着が疑われる子宮内膜症なども数多くご紹介いただいております。悪性腫瘍でもその多くがロボット支援下手術を含む腹腔鏡下で対応可能ですので、ご相談やお困りの際は、一度受診して頂けると幸いです。

外来のご案内

婦人科がんに対する腹腔鏡手術を希望される患者さんは、まず産婦人科の初診として当科を受診してご相談ください。