横浜市立市民病院

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診療科・部門

放射線治療科(放射線治療について)

外部照射

リニアック1台(Elekta Synergy®)で治療を行っています。3種類のX線(4、6、10MV)と6種類の電子線(4、6、9、12、15、18MeV)のエネルギーが選択できます。
この装置を用いて、通常照射のほか、高精度放射線治療として、肺がんに対する定位放射線照射、前立腺がんに対する強度変調放射線治療(IMRT)を行っています。
放射線治療計画装置は、Pinnacle 3台を有しています。

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    図1.外部照射装置(リニアック):
    Elekta Synergy®
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    図2.放射線治療計画装置:
    Pinnacle
肺がんに対する定位放射線照射

定位放射線照射は、一般に「ピンポイント照射」として知られています。放射線を多方向から3次元的に一点に集中して治療します。一点に集中するため、従来よりもはるかに多い線量を少ない回数(4回もしくは7回)で照射します。そのため、通常照射より高く、手術とも遜色ない治療効果を発揮します。
副作用は手術に比べ少なく、そのため合併症(持病)や高齢を理由に手術ができない方でも、定位放射線照射なら可能となる場合が多くあります。

  • ■治療の適応(有効と考えられ、許可されている疾患・病態)について
    原発性、転移性ともに直径が5cm以下で、原発性では転移のないもの、転移性では3個以内かつ他病巣のないものに対して行うことができます。
    重篤な間質性肺炎、肺線維症のある方や、過去に同部に放射線治療をしたことがある方、著しく呼吸機能が低下した方、腫瘍が心臓、血管、気管・気管支、食道、胃、脊髄などの重要臓器と密接している場合は、強い副作用が起こる可能性があるため、行うことはできません。
  • ■料金について
    保険診療の範囲で行わせていただきますが、かなり高額となります(64万円の3割もしくは1割)。多くの方が高額療養費制度の利用により大幅に減額できますので、必要に応じて手続きの支援を行います。

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図3.肺がんに対する定位放射線照射の線量分布
(どこにどのように放射線が当たっているかを示した図)

最も内側の赤色の線が100%照射される領域を示しています。
最も外側の水色の線が50%照射される領域を示しています。

がん(白い塊)は赤色の線のほぼ内側に存在し、きちんと照射されており、かつ周囲の正常臓器にはほとんど放射線が当たっていないことがわかります。

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    図4-1.治療前のCT画像
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    図4-2.6ヶ月後のCT画像

がんが小さくなっていることがわかります。

強度変調放射線治療 (Intensity Modulated Radiation Therapy; IMRT)

現在の通常照射の進化版に位置付けられているIMRTは、照射野内の放射線強度に強弱をつけ、多方向から打ち込むことにより、標的の形状にぴったり合った線量分布を作成することができる治療です。通常照射では作ることのできない急峻な線量勾配(放射線の傾斜)やくびれた線量分布も描くことができます。
これにより、通常照射と比べ副作用の軽減が期待できます。前立腺がんの場合、前立腺に対する処方線量も増やすことができるため、治療成績の向上も期待できます。

  • ■治療の適応(有効と考えられ、許可されている疾患・病態)について
    2010年よりすべての限局性固形悪性腫瘍に保険が認められるようになっていますが、当院では現在、主に前立腺がんに対してIMRTを行っています。
  • ■料金について
    保険診療の範囲で行わせていただきますが、かなり高額となります。治療回数により異なりますが、前立腺がんの場合、約140万円の3割もしくは1割となっています。多くの方が高額療養費制度の利用により大幅に減額できますので、必要に応じて手続きの支援を行います。

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図5-1.通常照射とIMRTの線量分布の違い(横断(輪切り)像、左がIMRT、右が通常照射)

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図5-2.通常照射とIMRTの線量分布の違い(矢状断(横から見た)像、左がIMRT、右が通常照射)

IMRTの方が前立腺の形に沿うようにぴったりと放射線が当たり、かつ直腸の放射線量が少なくなっているのがわかります。

放射線治療の流れ
  • 放射線治療科外来受診(30分程度)
    診察および治療についての説明、方針の決定を行います。
              ↓
  • 治療計画CTの撮影 固定具の作成(30分程度)
    治療計画作成のためのCT撮影を行います。造影剤は使用しません。
    症例によっては、シェルと呼ばれる固定具も作成します。
    体に仮の印を描きます。
              ↓
  • 放射線治療計画の作成
    治療計画装置(Pinnacle3®)を用い、最適な治療計画(照射角度、門数、線量分布の作成、照射回数、分割線量の決定)を作成します。
              ↓
  • 治療計画の検証
    作成した治療計画が、安全かつ確実に実行できるかどうかの検証を行います。
              ↓
  • 照合写真の撮影、マーキング(15分程度)
    実際の治療台に寝て、きちんと計画通りに当たっているか照合写真を撮って確認します。
    体に印を描き足します。
              ↓
  • 放射線の照射
    通常照射、IMRTの場合、1回の治療時間は5~15分程度、定位放射線照射の場合、1回の治療時間は30~40分程度かかります。治療中痛みはなく、放射線が当たっている感覚はありません。治療は平日毎日行います。照射回数は病気によって異なります。
              ↓
  • 経過観察
    治療中は週に1回、放射線治療科の医師による定期診察を行います。その他の日も、治療中毎回簡単な問診用紙に体調をご記入いただき、それを看護師がチェックし医師に伝達します。治療終了後も効果や副作用の様子を見るため、放射線治療科の診察を行っていきます。

※上記3.4.は当科スタッフが行う作業で、患者さんの同席はございません。この作業に数日を要します(治療計画の精密度や難易度、病態の緊急度などにより異なります)。

●放射線治療については、下記のホームページに詳しく解説されています。
http://www.jastro.or.jp/

塩化ラジウム-223(ゾーフィゴ®

塩化ラジウム-223(ゾーフィゴ®)は、骨転移のある去勢抵抗性前立腺がん(男性ホルモンの分泌を抑える治療を実施しても病状が悪化する前立腺がん)の治療薬として、世界で初めてα線(アルファ線)と呼ばれる放射線を用いて、骨に転移したがん細胞に対して治療効果を発揮する、新しいタイプの放射線医薬品です。月1回の注射で計6回行います。
この治療を当院でも2017年1月より開始しました。

  • ■ゾーフィゴの効果について
    国際共同第Ⅲ相臨床試験では、全生存期間が中央値で約3ヶ月の延長、症候性骨関連事象(骨症状緩和のための外照射の使用、新たな症状を有する病的骨折の発現、脊髄圧迫の発現、骨転移に対する整形外科的処置)発現までの期間が、中央値で約7ヶ月延長しています。
  • ■治療の適応(有効と考えられ、許可されている疾患・病態)について
    現在のところ、骨転移のある去勢抵抗性前立腺がんに対して有効性が示されており、行うことができます。肝転移や肺転移などの臓器転移がある場合は行うことができません。
    骨シンチグラフィで転移部位に集積のあるものが有効とされています。
    また、初回治療時点で貧血がないこと(ヘモグロビン値が10.0 g/dL以上)などが条件となります。
  • ■副作用について
    国際共同第Ⅲ相臨床試験では、頻度の高いものとして、貧血(18.3%)、吐き気(20.8%)、下痢(16.7%)、骨痛(15.8%)疲労(12.2%)などが報告されています。
  • ■料金について
    保険診療の範囲で行わせていただきますが、かなり高額な薬となります(1回あたり約70万円の3割もしくは1割)。多くの方が高額療養費制度の利用により大幅に減額できますので、必要に応じて手続きの支援を行います。
  • ■ゾーフィゴについては、下記のホームページに詳しく解説されています。
    http://www.xofigo.jp/ja/patients/

ストロンチウム-89(メタストロン®

ストロンチウム-89(メタストロン®)は、骨転移による疼痛緩和を目的とした治療薬で、β線(ベータ線)という放射線が転移した骨に集まり、そこで放射線を集中的に当てることで痛みを軽減することができます。静脈注射1回で治療が終わりますので、入院の必要がありませんし、外部照射のように毎日通院する必要もありません。

  • ■メタストロンの効果について
    骨転移による痛みの軽減が期待できます。効果の発現まで1~2週間かかると言われています。効果がみられない場合もあります(効果の発現率は7割程度と言われています)。また、数ヶ月で効果が切れて、再び痛みが強くなることがありますが、3ヶ月以上の間隔をあければ、繰り返し行うことができます。
  • ■治療の適応(有効と考えられ、許可されている疾患・病態)について
    骨転移による痛みを軽減したい場合、すべての固形がんの骨転移で使用が認められていますが、血液腫瘍(多発性骨髄腫、悪性リンパ腫、白血病など)や小児腫瘍での使用は認められていません。また、抗腫瘍効果(がんを小さくする、抑制する効果)は認められていませんので、生存期間の延長、骨折や脊髄圧迫の予防・改善目的では用いられません。
    放射線外部照射も骨転移による痛みを軽減できるよい治療ですが、一度に照射できる範囲は限られていますので、広範囲の骨転移で、痛みの箇所が複数存在する場合には、放射線外部照射よりも、メタストロンの方が有効と考えられます。また、同時に行うことはできませんが、放射線外部照射とメタストロンを併用することも可能です。
    メタストロンは骨シンチグラフィと同じ集積動態を示すため、骨シンチグラフィで転移部位に集積のあることが条件です。
    また、投与前の白血球数が3,000/mm3以上、好中球数が1,500/mm3以上、血小板数が75,000/mm3以上、ヘモグロビン値が9.0g/dL以上あることが望ましいとされています。
  • ■副作用について
    白血球や赤血球や血小板が注射前に比べて20~30%程度、一時的に減少することがあります。また、注射2~3日後に一時的に痛みが強くなることがあります。
  • ■料金について
    保険診療の範囲で行わせていただきますが、かなり高額な薬となります(1回あたり約30万円の3割もしくは1割)。多くの方が高額療養費制度の利用により大幅に減額できますので、必要に応じて手続きの支援を行います。
  • ■メタストロンについては下記のホームページに詳しく解説されています。
    http://www.nmp.co.jp/member/metastron/faq/index.html