粉瘤は、顔面、体幹、四肢など有毛部(毛の生えている部位)に生じることが多い皮膚の良性腫瘍です。多くは毛包漏斗部(毛の入り口の部位)の上皮成分が真皮内に入り込むことで上皮成分に取り囲まれた嚢腫壁(袋状の構造)が作られ、嚢腫壁が増殖して作られた角質成分が嚢腫壁の内部に貯留しています。ドーム状に隆起した腫瘍の中央には、嚢腫壁の入り口に相当する面皰(コメド)がみられることがあります。
嚢腫壁の内部に貯留した角質成分が時間の経過と共に増加することにより腫瘍が大きくなります。また、嚢腫壁が破れて内部の角質成分が真皮内に漏れ出ると強い炎症が引き起こされて急に赤く腫れて大きくなることがあります。
ドーム状に隆起した腫瘍の形態、腫瘍に中央に面皰を確認できれば診断できます。腫瘍の外観(見た目)だけでは診断が難しい場合は、超音波(エコー)検査を行い診断します。
腫瘍の大きさが小さい場合は、そのまま経過観察されることがありますが、時間の経過と共に大きくなっていくことが多いため、早めに手術で腫瘍を取り除くことが勧められます。
ただし、嚢腫壁が破れて内部の角質成分が真皮内に漏れ出て急に赤く腫れて大きくなっている場合には、赤く腫れている皮膚を切開して角質成分を洗い流すような皮膚切開術といった手術が必要となることがあります。このときは、皮膚を切開してできた傷の処置を行い、傷が落ち着いてから残っている腫瘍を手術で取り除くか検討します。
解説
皮膚科 科長 蒲原 毅
休診日
土曜、
日曜、国民の祝日、
年末年始(12月29日〜
1月3日)
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