研修医日記
RESIDENT DIARY
当院の初期臨床研修の最大の魅力は地域医療研修です。これまで沢山の研修医の皆さんがこの研修医日記で地域医療研修の魅力を伝えてくれていますが、この素晴らしい地域医療研修を支えて下さっているのは研修先の熱意ある指導医の先生方や看護師さん、事務の皆様のおかげなんです。お世話になっている地域医療研修先の病院・診療所の皆様にぜひ御礼のご挨拶をしたいと思い、急遽沖縄に行くこととしました。というのは建前で本音を言うと私も沖縄に行きたかったんです。研修医日記をみると本当に羨ましくなりもう嫉妬さえ感じてしまうほどです。また、私の両親が共に沖縄出身であり私にとって第二の故郷です。というわけで8月の連休を利用して地域研修先施設訪問プラスおまけとして夏休みを頂いて沖縄に行って参りました。一人では寂しいので中2病真っ只中の愚息を連れて男2人旅に出かけました。公私混同と言われても言い訳できませんがちゃんと自費で手配しましたのでお許し下さい。私は嬉しいのですが息子はいい迷惑かもしれません。思春期の男の子はどうして父親と口をきかなくなるのでしょう?これは全世界の父親の普遍的命題です。今度グループ面接のテーマとして出題するかもしれません。(嘘です。ごめんなさい)
話がかなり脱線してしまい申し訳ございません。お世話になっている地域研修先の皆様に御礼をすることが本来の目的です。当院の初期研修医は沖縄県立南部医療センター・こども医療センターの離島診療所に3名、伊江島にある伊江村立診療所に5名、西表島の沖縄県立八重山病院附属診療所に1名、宮古島の沖縄県立宮古病院に1名、久米島にある公立久米島病院に1名、なんと計11名が沖縄の離島で地域医療研修を受けることができるんです。ただ沖縄の離島診療所は現在指導医が不足しているとの事で研修医の受け入れがだんだん難しくなっているようです。そのような事情もあるため、今後も素晴らしい沖縄離島研修が維持できるよう直接お願いに伺うこととしました。時間が限られているため今回は沖縄県立南部医療センター・こども医療センターと伊江村立診療所を訪問することとしました。かなりタイトなスケジュールで午前7時30分発の羽田⇒沖縄の飛行機に乗り午前10時に那覇に到着し、レンタカーを借りて12時に南部医療センター・こども医療センターを訪問、その後高速道路を使って車で沖縄北部の本部港まで15時までに行き、15時30分の伊江島行きフェリーに車ごと乗船し、16時に伊江島に到着、16時30分に伊江村立診療所にご挨拶に伺うというかなり激しい計画を立ててしまいました。
沖縄に着いて早々トラブルが発生しました。那覇空港からレンタカーで南部医療センター・こども医療センターに向かったのですが、どうも様子がおかしいことに気付きました。信号が全然ないんです。道路も空いていて制限速度も80kmと書いてあります。これは早めに着いてしまうから病院の食堂でソーキそばを食べられるぞ、と喜んだのも束の間、「80km?」、「名護まで57km?」、なんといつの間にか高速道路に入ってしまっていたのです。私は顔面蒼白となり、「終わった・・・」と呟きました。若者風にいうと「オワタ・・・」でしょうか。研修医の皆さんの顔が走馬灯のように流れ、私の脳内は終末感が漂っていました。良かれと思って沖縄訪問を決行したのに、むしろ無礼を働くことになり「来年度の受け入れは白紙です!」なんて事になったら・・・とよからぬ事まで考えてしまいました。パニックに陥るところですが、私も医師のはしくれなので急変対応はしなければなりません。次のICで出て、すぐ反対側のICに入って高速ですぐ引き返せばギリ間に合うのでは?と珍しく機転が利いてすぐ実行に移しました。反対の高速に乗って急いで那覇に戻り何とかギリ間に合いました。病院に着いたのが11時57分でした。12時の約束にちょうど間に合いました。
南部医療センター・こども医療センターではなんと5名の先生方と3名の事務の方が温かく出迎えて下さりました。「間に合ってよかった」と私はほっと胸をなで下ろしました。南部医療センター・こども医療センター附属離島診療所は渡名喜、久高、阿嘉、粟国、渡嘉敷、座間味、北大東、南大東の8カ所があるとの事ですが、人員不足により医師派遣が難しい診療所もあり南部医療センターの先生方がローテーションで繋いでいる離島診療所もあるようです。都会では決して経験できない真の総合診療を学べるため、研修医の皆さんにはかけがえのない貴重な研修となります。当院研修医への大変熱心な御指導に対する感謝の気持ちをお伝えし、今後の地域医療研修の継続を改めてお願いをさせて頂きました。
実は今回の訪問にはもう一つ大事な目的がありました。当院の初期研修医出身でそのまま当院内科専攻医に進んだT先生から、ぜひ沖縄県立南部医療センター・こども医療センターで1年間連携研修を受けたいと熱心なお願いがありました。T先生は初期研修医時代に離島診療所で地域医療研修を受けており、その素晴らしい体験が忘れられず是非もう一度沖縄で研修をしたいと強く希望されました。離島医療を支える熱意ある先生方に感銘を受けたようです。ただ内科専攻医はあらかじめ登録されている連携施設での研修しか受けられず、当院の連携施設は東京都と神奈川県の病院のみです。何とか願いを叶えるため内科専攻医に関しても相互連携をお願いできないでしょうかと申し上げたところ快く了承して下さりました。同センターでは呼吸器内科と血液内科の人員が不足しているとの事で、当院は呼吸器内科・血液内科共にかなり充実しているためお互いの足りない部分を補完できる点をご評価頂きました。初期臨床研修だけでなく内科専門研修でも連携をして頂けるとの事で二重の喜びです。沖縄の先生方は皆さん本当に穏やかで優しいオーラを纏っていらっしゃり、先程の高速道路案件で疲弊した心が癒やされました。息子には病院内のカフェでボーッと待ってもらっていたのですが、何と事務の方が息子の為にお土産まで準備して下さって、その優しい気配りに感激してしまいました。沖縄県立南部医療センター・こども医療センターの皆様、大変温かい御対応をして下さり本当にありがとうございました。心から感謝申し上げます。
この後は急いで伊江島に向かいます。高速道路は先ほど意図せず予習済みなので大丈夫。長々と書いてしまったので続きは次号にて。
臨床研修委員長
仲里朝周
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