研修医1年目のI先生、K先生、O先生、K先生の4人が院内コンサートを開催しました。詳しくは研修医I先生の研修医日記をご覧下さい。I先生が熱い想いを詳しく書いているので、わざわざ私が日記を書く必要性は全然ないのですがあまりにも感動したので興奮冷めやらず勝手ながら書かせて頂きます。

　I先生が研修医にまだなりたての頃、突然私に相談をしに来ました。「先生、研修医の有志で患者さんのために院内コンサートを開催したいんですけど。」かなり気合いの入った真剣な眼差しでした。I先生は4月からかなり忙しい診療科をローテートしており正直ものすごく疲れがたまっていたのではと思いますが、そんな中で院内コンサートを開催したいという情熱とボランティア精神に感銘を受けました。演奏は6月から時間をかけてこつこつと準備していたそうです。バイオリン2名、チェロ1名、ホルン1名という4人の組み合わせで演奏するのはとても難しいそうで、様々な苦労や工夫があったそうです。まずこの組み合わせ用の楽譜が存在しないため編曲から自分たちで試行錯誤をしながら行ったとのことです。夜8時頃になると講堂から4人が奏でる音楽が聞こえてきます。何度も何度も繰り返し練習していました。私は音色を聴くたびに「セロ弾きのゴーシュ」を思い出しました。講堂の扉を開けて覗いてみたい衝動にかき立てられましたが、練習の邪魔をしてはいけないと思いとどまりました。一生懸命練習をしている様子を扉越しに聴くだけで、まるで4人で部活動をしているようで、青春しているな、ととても微笑ましく感じ、扉の裏で一人にやけていました。気持ち悪いですね。研修医1年目は、まだ業務に慣れるのに精一杯であり夜勤も月4-5回あるため、正直なところ時間的余裕も心の余裕もなかったのではと思いますが、そんな中で時間をなんとか作り夜な夜な集まって一生懸命練習を積み重ねた事は本当に素晴らしく、4人にとってもかけがえのない財産になったのではと思います。

　コンサートを鑑賞して下さった患者様、ご家族様の中には感極まって涙を流している方もいらっしゃいました。その光景をみて私も目頭が熱くなり心が震えました。みなさん、人が涙を流すほどの感動を届けることが出来ますでしょうか。凡庸な私には到底できません。医師として患者さんやご家族の悲しみの涙はみていますが、感動の涙はなかなか見ることは出来ません。人を心の底から感動させるという事は並大抵の事ではありません。4人を心から尊敬します。4人の日々の努力、そして情熱と心意気に最大限の敬意と感謝を伝えたいと思います。また4人を心から誇りに思います。市民病院に来てくれて本当にありがとう。熱意、情熱、パッション（あれ、全部同じ意味ですね）、心意気、ボランティア精神、献身、団結力、絆、友情、仲間、調和、努力、切磋琢磨、向上心、一生懸命、どんな誉め言葉を並べても足りないぐらい光輝いています。4人のように奉仕の精神、努力を厭わない姿勢、たゆまぬ向上心を持つ若者は、医師としても極めて優れた資質を有しており必ずや将来素晴らしい医師になると確信します。この素晴らしき4人をなんと表現すればよろしいでしょうか。語彙力のない私には「ファンタスティック4」ぐらいしか思い浮かびません。「音楽は地球を救う」なんて大袈裟だと思っていましたが、弾き手の情熱によって本当に人々の心を救うことができるのだとはっきりわかりました。少なくとも多忙な業務に疲れ果てた私の心に新たな活力を与えてくれました。明日からこの4人に負けないよう私も頑張ろうと思います。4人の勇姿をビデオに撮っておけば良かったとも思いましたが、感動というものはその瞬間にしか伝わらないものなので大切な思い出として宝として心の中にとっておきたいと思います。

　あまり4人のことばかり誉めてしまうと他の18名の同期が嫉妬してしまうかもしれません。もちろん研修医全員がそれぞれユニークな個性があり、みな素晴らしいダイヤの原石だと思います。当院で過ごす2年間で自らに磨きをかけて、更に光輝いて皆さんが世に羽ばたいていくことを切に願っています。

　最後になりましたが、4人の演奏を聴きに来て下さった患者様、ご家族様、院内職員の皆様、本当にありがとうございました。この場を借りて御礼申し上げます。また、院内コンサート実現の為に御尽力下さったホスピタリティ推進委員会をはじめとした院内職員の皆様、心から感謝申し上げます。

臨床研修委員長

仲里朝周