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研修医日記

RESIDENT DIARY

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30代研修医の奮闘記

 はじめまして、研修医2年目のIHです!最初はカルテの使い方もままならず毎日おろおろしてばかりいた私にも、気づけば後輩ができ、こうして研修医日記を書くことになっていることに驚いています。今でもわからないことだらけで、内心、おろおろしてばかりですが...笑。こんな研修医もいるのだというご参考までに、駄文ではございますが、お時間のある方は少々お付き合いいただけますと幸いです。

 

 まず自己紹介をさせていただきます。私は関西の地方医大を卒業後、当院の初期研修医プログラムに所属させていただいております。医学生時代は整形外科志望でしたが、研修を通じて内科の奥深さに魅了され、内科志望に鞍替えをいたしました、少し変な研修医です。また、医師になる前に別の業界で働いていた関係で、少し同期よりも歳を取っています、やはり少し変な研修医かもしれません。アニメ クレヨンしんちゃんに登場する野原ひろしと同い年です。そんな多様性の濃いめな研修医に対しても、過去を詮索せずそっと見守り、平等に接してくださる、そういう温かさがこの病院にはあります。

 

 ハートはずっと20歳のまま(ひょっとしたら5歳のまま?)でも、さすがに10歳年下の同期たちと同じペースで活動をしようとすると、「ちょっとだけ」体力の限界を感じるときがあります。同期と朝まで飲み明かしたり、焼き肉食べ放題をしたり、当直明けにサッカーをしたり、といったことはさすがにきついと感じるようになりました。当直明けのラーメンのおいしさは格別ですが、後で胃もたれになり、活性酸素が体の隅々に満ち溢れるのを感じるときなどは、「昔のようにはいかないか~」と少々悔しく思うこともあります。もちろん、そのような感情は決して顔には出さず、さも余裕そうな顔ですましております。あれ、いつのまにか目じりの小じわが増えている…!!

 この当直という制度、以前働いていた業界にはなかったので当初はなかなか体がついていきませんでしたが、明けにはしっかり休ませていただけますし、今ではすっかり慣れてしまいました。むしろ、しっかり働いて、しっかり休めるメリハリの生活を結構気に入っています。

 

 わたしたち初期研修医の担当させていただく当直業務は、救急外来にいらっしゃった患者さんの診療です。クリニックや病院の外来が閉まっている夜間に急に具合の悪くなってしまった方が訪れる救急外来、そこでの初期診療を行うことが仕事です。当院の救急外来の特徴は、救急診療の専門医の先生が常駐してくださっていることです。研修医が初期診療をした後には必ず全例で症例のコンサルトをさせていただき、診療情報を共有して方針のすり合わせを行いながら検査や治療をすすめることができます。予備情報があまりない、「まっさら」な状態ではじめてお会いする患者さんに問診や診察をさせていただき、病態を考えながら必要な検査や治療方針を組み立てます。自分一人で検査や治療を行うつもりで方針を考えつつ、都度上級医の先生からフィードバックを受けながら医療に携わることができるため、安全に、安心して研鑽を積むことができます。研修医にはこの上なく手厚い、すばらしい環境で研修をさせていただけるため、当直のたびに、申し訳なさと感謝の入り乱れた気持ちになります。先生方、いつも本当にありがとうございます、この場を借りて感謝申し上げます。

 

 救急外来にいらっしゃるほとんどの患者さんは、幸いにも入院が必要となるほどの重症度ではないことが多いのですが、まれに、心筋梗塞や脳梗塞などの重大な病気が隠れていることがあります。

 おなかをかかえ、七転八倒しながら激しく嘔吐を繰り返す患者さんがいらっしゃった際には、悶え苦しむ患者さんからなんとか身体所見をとり、「腸捻転かもしれない!」と慌てて上級医の先生に相談をしてしまい、後で尿路結石だったとわかって面食らうこともありました。一方で、長年悩まされている片頭痛持ちの患者さんが、「今日の頭痛は何か変な気がする」とおっしゃって当院を受診され、くも膜下出血と診断されることもあります。首が固いものの明らかな麻痺症状や神経症状がなかったのですが、念のために撮像したCT画像でくも膜下出血と判明しました。背中がひんやりと寒くなるような恐ろしさを感じたのをよく覚えています。当直中は自身の未熟さを痛感するので精神的にきついこともありますし、体力的にもきついため、ついつい音を上げそうになることもあります。しかし、守られた環境で医師としての基礎を磨く非常に貴重な機会なので一つ一つの症例との出会いを大切にしようと心がけて、真夜中でも目を見開いてがんばっています。

 

 閑話休題。

 突然ですが、みなさまには「心の風景」はありますか?懐かしい故郷の風景、旅行先で見た忘れられないベストショットなど、ふとした時にまた見たいな~という感情とともに脳裏に湧き上がる風景のことを私はそう呼んでいます。私は神奈川県逗子市の出身でして、中学高校時代、朝と夕方に日課としていた愛犬のお散歩の道すがら、毎日見ていた湘南の海と富士山が心の風景です。

 そんな私、工学系の大学を卒業後は東海地方で働き、その後地方医大に入学してしまったため、10年近くこの心の風景から遠ざかっておりました。医学部5年次のある日、マッチングで当院に興味を持ち見学に参った際、研修医担当の仲里先生が病棟の6階に案内してくだいました。「ここからの景色が私は大好きなんですよ。先生は運がいいですね、今日は富士山がくっきり見えていますよ!」その日病棟から見えた富士山の景色を見て、私は長らく忘れていた心の景色に出会ってはっと懐かしさが沸き上がり、当院で研修をしてみたい気持ちがとても強くなったのをよく覚えています。もちろん、当院で研修をしたい理由は、診療科がそろっており、プログラムが充実し、希望に応じて自由にローテーションできる、というもっと実利的な理由だったわけですが、それでもやはり、「この病院で働いてみたい!!」という直感的なモチベーションも、満足度を高める大事な要素に違いないと思っております。

 

 横浜市民病院はパークサイドホスピタルという名前にピッタリの病院です。三ツ沢総合グランドのすぐ真横にあり、三ツ沢を一望できます。4月には桜、5月は新緑、秋には紅葉、冬には初冠雪の富士山が見えます。夕方は赤い夕陽に浮かぶ黒い富士も見られます。私は出勤時と当直明けに病棟の6階から「本日の景色」をチェックするのをルーティンにしており、当直明けには、青い空と富士山がヘロヘロな心を洗ってくれます。ちなみに、患者さんの病室からはみなとみらいもちらりと見えます。

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海が恋しくなった時には、みなとみらいを散歩すると最高です。運が良いと大桟橋から出港する客船を見送ることなどもできます。帰りには中華街で夕食と洒落こみます。

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さて、わたくしは業務を通し、職業には適正がある気がすると、最近ひしひしと感じるようになりました。私は元来ゆっくりじっくり考えるのは得意ですが、何かを焦らされるのがとても苦手、ましてや緊迫した現場で素早く迅速に行動するのはとてもストレスがかかります。とはいえ仕事柄やむをえないため、救急の現場などでは蓄えの少ないアドレナリンを全開にして頑張るのですが、アドレナリンが底をついた週末は静かに過ごしてよく休むようにしています。

 

週末は、趣味のテニスやDIY、ごくたまに、茶道教室に参加したりして心を開放しています。

特に茶道は20歳から続けている、一番長く続いている趣味で、茶名という二つ名も持っていたりします。季節の模様がちりばめられた小洒落たお茶碗で、5月の新緑のようなさわやかなお抹茶をいただくと、非日常に心が洗われ、また一週間がんばる気力が湧いてきます。茶道仲間のマダムたちは80歳を超えてもお肌はつるつる、頭もキレて、お抹茶の抗酸化作用のすばらしさを感じます。私が当直明けのラーメンで発生させた活性酸素も、きれいに浄化されていることでしょう。

 

本年も、加齢に負けず、華麗に病棟を飛び回り、少しでも皆さんのお役に立てるようにがんばります。応援のほど、よろしくお願いいたします。駄文で失礼いたしました。

 

最後になりますが、当院にお越しの際には、ぜひとも、6階からの景色をご覧ください。

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