キービジュアル

研修医日記

RESIDENT DIARY

045-316-4580

診療科日記 ~神経精神科~

診療科日記(神経精神科)

 神経精神科科長の志々田と申します。

 当科には4人の常勤医師が在籍しており、うち1名は常勤スタッフ、2名は卒後35年の専攻医です。当院には精神科病床がないので精神科入院患者はほとんどなく、主な業務は他科の患者さんの精神症状の治療(いわゆるリエゾン)、外来診療です。リエゾン患者で多いのは、せん妄、認知症、不眠、抑うつ、自殺企図などです。他に、認知症サポートチームや精神科リエゾンチーム、緩和ケアチーム、母子サポートチームなどで活動しています。特色のある診療としては、過食症とアルコール使用障害の専門外来を立ち上げています。過食症は、ある調査によると大学生女子の1%前後にみられるというありふれた疾患ですが、治療にあたっては身体管理を要したり他職種との連携も必要になるため専門医療機関が少ないという現状があります。そのため2018年に専門外来を立ち上げました。アルコール使用障害は全国に57万人いると推計されていますが、治療を受けている患者さんはわずか5.4万人しかおらず、“治療ギャップ”が大きい疾患です。未治療の患者さんは実は合併する身体疾患のために総合病院を受診・入院することが多いので、総合病院でアルコール使用障害の治療を行うことで治療ギャップを小さくできる可能性があり、当院では2020年から「お酒の問題外来」という名称で専門外来を立ち上げました。

 初期研修医の皆さんには、主に2年目に当科で研修を受けていただきます。研修期間中のうち1週間は、精神科専門病院(川崎市にある武田病院か横須賀市の久里浜医療センターのどちらか)で研修を受けていただきます。というのも、当院には精神科病床がないため統合失調症や双極性障害で入院を要するような重症症例を診療したり、社会復帰プログラムを経験したりする機会がないためです。当院での研修中は指導医とペアになりリエゾン診察、外来初診などを行っていただきます。また薬物療法、せん妄、認知症、アルコール使用障害などについてのミニレクチャーを行います。大半の研修医は(残念ながら)将来の進路として精神科以外の科を選択されますが、どの科を選択してもせん妄や抑うつ、認知症、不眠、アルコール使用障害などの精神疾患を扱うことになりますので、精神科研修は重要だと考えます。また私見ですが、精神科で問診技術を磨くことは一般診療の技術向上にもつながるのではないかとひそかに自負しています。

 また、当院では初期研修医全員に、年1回当科医師がメンタルヘルス面談を行っています。実は研修医はメンタルヘルス悪化や燃えつきなどのリスクが高いことが国内外で報告されています。社会人になり責任が生じたり環境が変化したり、12か月おきに科をローテートしたり、業務が多かったりして、当院に限らず研修医の皆さんは本当に大変な環境にいると思います。幸い、毎年面談を行う中で深刻な不調に陥っている研修医は目立たないようです。おそらく当院の研修医は学年あたり20名程度であり各科の先生や研修医同士でよいコミュニケーションがとれることや、当院の指導医が研修医のことを大事にしているためではないかと思います。

 当科のスタッフについて紹介します。私は平成10年(1998年)に広島大学を卒業し、広島大学精神科に入局し、2017年まで広島県内の病院に勤めていましたが、2018年に慶應大学精神科の三村將教授(当時)の計らいで横浜市民病院に移り、現在まで勤務しています。広島で生まれ育ち、ずっと広島で診療していましたので、環境の違う関東に来てやっていけるのか不安でしたが、幸い横浜市民病院の他科の先生方やスタッフは気さくな方が多く、出身大学や所属医局など全く無関係にフランクに接していただき、連携して診療することができています。私は広島カープのファンなのですが、当院の先生の中にも何名かカープファンがいらっしゃるのを発見し、横浜スタジアムに一緒に観戦に行ったりもしました。

 当科の他3名の医師も慶應大学精神科の医局に所属しています。慶應大学精神科では勉強会がほぼ毎日のように開催され、各分野のエキスパートがいるので私や若手医師にとって成長の機会に恵まれています。また現在慶應大学とは睡眠薬と転倒の関連について共同研究も行っています。スタッフのうち2名は他の学部を出たり社会人を経験してから医師になった人たちですが、彼らの診療の様子を見ていると、同じ卒業年度の医師と比べると患者さんの理解の仕方に深みがあるように思います。このように、人生経験が診療にも活かせるところが精神科のよさの一つではないかと思います。

 皆さまと横浜市民病院で一緒に働けるのをお待ちしております。

05dd03d38923aa8785f77a4fd1f6d9f9-1704797942.jpg

アクセス情報ACCESS

〒221-0855 
神奈川県横浜市神奈川区三ツ沢西町1-1

アクセス情報を見る

バスでお越しの方

バス停「市民病院」下車 ※令和2年5月2日に新設
・横浜駅西口から 市営87系統又は34系統(平日の日中のみ)
・東神奈川駅から 市営88系統(東神奈川駅西口~東横反町駅前~三ツ沢上町前~市民病院)
・保土ケ谷区内や相鉄線沿線から 208系統(横浜駅西口~和田町~市民病院)

バス停「三ツ沢総合グランド入口」下車 徒歩1分
・横浜駅西口から三ツ沢総合グランド経由のバスに乗車

© 2019 City of Yokohama. All rights reserved.