研修医日記
RESIDENT DIARY
麻酔科の仕事は、もしかしたら十分に理解されていないかもしれません。気管挿管などの気道確保の手技が麻酔科の主な業務として認識されがちですが、実際のところ、麻酔科医の役割はそれよりもはるかに広範で複雑です。麻酔科医の大きな任務は、手術中の患者の侵襲から体を守ることです。
心拍数、血圧、呼吸、酸素飽和度などの生命維持に不可欠な生理的パラメータを監視し、患者が安定した安全な状態を維持するのが麻酔科医の使命です。モニタからの情報を用いて状況を評価し、必要に応じて迅速に介入し、生体の恒常性を維持します。モニタリングの必要性・評価・判断・対応は麻酔科研修の中で、最低限習得していただきたい項目です。
手術中には予期せぬ緊急事態が発生することがあります。麻酔科医はこれらの緊急事態に対処し、迅速に治療や処置を行い患者の安全を守ります。緊急時の対応能力や判断力の育成も重要と考え、麻酔科取り組んでいます。当科ではスタンフォード緊急時対応マニュアルを診療科内で読み込み、手術室の各部屋に配置しております。
ICU・CCUは18床あり、2名の集中治療専門医、麻酔科スタッフ、研修医と主治医チームで診療・治療を行っています。麻酔科医は患者の呼吸管理や循環管理など、広範な治療に深く関与し、主治医、看護師、栄養士、リハビリテーション部門など、様々な部署と連携して、全体的な視点から患者の回復をサポートします。当院での集中治療室死亡率は予測死亡率よりもはるかに低く、質の高い治療と多職種連携が反映されていると考えています。
ICU・CCUでは、緊急事態が発生することがあり、適切な治療法の選択や優先順位の決定のトレーニングもICUでの研修で習得できます。
妊婦とその家族に安全で快適な出産を提供するために、無痛分娩にも積極的に関わっています。妊婦のバイタルサインを継続的に監視し、血圧低下やその他の合併症を予防し、対応しています。特に、出産は予測不可能なことがあり、緊急帝王切開など、迅速な対応が求められることがあります。無痛分娩だけでなく、麻酔科医の活動範囲は近年拡大しており、その役割は重要になっています。
手術は多職種のチームワークの下で行われます。外科医、看護師、臨床工学技士、薬剤師などがチームのメンバーであり、麻酔科医は患者の総合的な状態を把握し、他の医療スタッフと密接に連携し対応します。多職種連携は、医療のあらゆる分野で不可欠であり、これを養うトレーニングにもなります。
麻酔は治療ではなく、患者を守るための手段です。日々の業務では、隠れた危険を事前に予測し、適切な準備を行っています。このため、危機予知トレーニングは麻酔科の業務にとって日常的であり、医療安全になじみやすいと考えています。
リスク管理の考え方や迅速な対応は、あらゆる診療科においても重要です。さらに、麻酔科では院内での中心静脈カテーテル講習などの教育活動にも積極的に関与しており、最新の知識と技術を常に更新するように心掛けています。
麻酔科の業務は多岐にわたり、単に技術的な習得だけでなく、思考様式や問題解決能力も重要と考えています。麻酔科の研修では、これらのスキルを身につけることが期待されます。
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