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研修医日記

RESIDENT DIARY

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診療科日記 ~小児科~

小児医療

 小児科は内科のこども版ではありません。まず小児科はGeneralistです。感染症のみならず、先天異常、心臓疾患、内分泌代謝疾患、神経疾患、アレルギー疾患、腎臓疾患、血液疾患、炎症性疾患、新生児疾患、精神疾患、虐待など様々な小児疾患の患者さんが小児科には来院されます。様々な小児疾患の患者を網羅的に診察し、鑑別疾患を考えながら、診断・治療をすることが求められ、多種多様な疾患の概念・治療について学ぶ必要があります。さらに鑑別疾患は新生児・乳児・幼児・学童・思春期でそれぞれ発生率が頃なり、疫学の知識もしっかり学ぶ必要があります。当院小児科には急性疾患から慢性疾患まで様々な患者さんが来院されます。呼吸障害やけいれんによる低酸素血症や不整脈、新生児疾患などでは迅速な対応が必要となり、まさに小児救急を実践することが求められます。

小児医療は小児科医だけが知っていればいいわけではありません。皆さんは麻酔科、一般外科、心臓外科、整形外科、形成外科、耳鼻科、眼科など小児科以外の様々な診療科へ進む先生も多いと思いますが、どこの診療科へ進んだとしても小児患者と関わり、小児医療の知識や手技は必要になります。

小児医療は病院の5大事業のうち、へき地医療を除く、①救急医療、②災害時における医療、③妊娠・出産・新⽣児までを対象とする周産期医療、④小児医療に関わり、来院された小児患者のみではなく、地域のこどもたちも守ることが求められる社会貢献の非常に高い分野です。そのため、地域医療との連携、行政機関との連携が多く、社会医学と捉えられています。さらには子育て支援の1つとしての小児医療・新生児医療が注目されており、地域で安心して出産や子育てをするのに、小児医療は大きな貢献をしています。今後、在宅医療の研修も計画が進行中で、さらに多くのことを研修してもらえると思います。

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県内でも有数の小児救急拠点

 横浜市立市民病院小児科は横浜市の小児医療・小児救急の中核病院として、毎日毎夜多くの小児患者に対応しています。救急車の受け入れ、救急外来からの入院が多く、ウォークインを含めて重症の患者が来院します。5A病棟が小児病棟となっており、32床と市内でも有数の病床数で、日々の診療、また、2023年春のような災害級の感染症発生時には市内小児医療の砦としての機能も果たしています。5A病棟の看護師とともに多職種と密接な連携を取りながら、「横浜のこどもたちを守る」ため、外来運営を含めたこどもためのチーム医療を実践しています。

入院患者については朝、昼、夕にカンファレンスがあり、研修医や専攻医、スタッフが参加します。研修医や専攻医に患者の状況や検査結果のプレゼンをしてもらい、今後の方針などを議論します。

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5A病棟の廊下とスタッフステーション

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5A病棟病棟での朝カンファレンス(研修医がプレゼン中)

県内1位の分娩数をもつ周産期センター

 当院母子周産期センターは新病院に移転後も県内でも珍しく分娩数が増加しており、昨年は1200件と県内1位の分娩数となりました。当院の母子周産期センターNICUは多くの分娩に伴う呼吸障害などの呼吸障害、無呼吸発作に加え、在胎28週以降の早産児管理も行っています。新生児医療は小児科の中でも特殊な領域で、急変も多いため、気管挿管を含めた人工呼吸管理、PIカテーテルを用いた中心静脈管理、動脈ライン管理などのICU管理が必要となります。輸液なども管理も投与できる水分量がとても少なく、その中で必要な糖、アミノ酸、脂肪などを効率よく投与することが求められます。さらに、intact survivalといって後遺症を最小限にした退院を目指すこと、外来で退院後の発達をしっかりフォローアップすることが必要になっており、その基本を研修してもらっています。NICUでも朝、昼、夕にカンファレンスがあり、専攻医、スタッフが参加し、今後の方針など議論しています。

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NICU病棟

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NICUでのカンファレンス

大学病院に負けない充実した専門外来

 当院は市中病院ですが、充実した専門外来が特徴です。多くの紹介患者さんに対応しています。

月曜日:心臓外来

内分泌代謝外来(慶應義塾大学小児科)

火曜日:腎臓外来(都立小児総合医療センター 関東での小児腎臓の中心的な施設です)

            新生児フォローアップ外来 

水曜日:アレルギー外来(慶應義塾大学小児科)

予防接種外来

木曜日:神経外来(慶應義塾大学小児科)

内分泌代謝外来(慶應義塾大学小児科)

新生児フォローアップ外来

金曜日:健診外来

研修期間中に時間の許す限り専門外来に参加できます。

初期研修医を目指している皆様に

 当院小児科では奥深い小児医療の「さわり」を2か月の必修科目として研修で学んでいただいます。小児科スタッフの医師は優秀かつやさしく、熱意があればいくらでも学んでいただけると思います。夜間の小児救急当直では時間に余裕があれば問診から鑑別疾患を考えるところまで研修医を中心に進めてもらっています。その後指導医による答え合わせとフォローアップをするようにしており、医師としての基本を研修してもらっています。NICU研修は期間中2-3日間を予定しています。

夜間に23時までの小児当直が3-4日に1回あり、時間的な拘束は強めかもしれません。土休日の日中については日勤扱いとしており、平日に代休を取ることが可能です。

 

もっと学びたい研修医の先生は2年目に小児科、NICUをそれぞれ選択可能です。

小児科選択では小児医療の疾患をさらに学ぶことができ、地域医療、行政機関との連携など社会医学側面まで研修していただければと思います。

NICU選択では周産期医療として新生児のICU管理についての基礎を学んでいただきます。

 

小児医療は患者さんを後遺症なく助けることができれば、その人の長い人生を大きく変えることができます。さらに、その両親,兄弟などの人生をも変えることができます。目の前で苦しんでいるこどもたちを助けたいと思って僕は小児科を目指しました。当院の小児科でぜひ小児医療を一緒に勉強しましょう。

 

アクセス情報ACCESS

〒221-0855 
神奈川県横浜市神奈川区三ツ沢西町1-1

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バスでお越しの方

バス停「市民病院」下車 ※令和2年5月2日に新設
・横浜駅西口から 市営87系統又は34系統(平日の日中のみ)
・東神奈川駅から 市営88系統(東神奈川駅西口~東横反町駅前~三ツ沢上町前~市民病院)
・保土ケ谷区内や相鉄線沿線から 208系統(横浜駅西口~和田町~市民病院)

バス停「三ツ沢総合グランド入口」下車 徒歩1分
・横浜駅西口から三ツ沢総合グランド経由のバスに乗車

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