研修医日記
RESIDENT DIARY
臨床研修委員長
仲里朝周
この度、昨年度の初期研修医2年目であった濱田江里奈先生が初期研修医時代に書いた英語論文がなんとAnnals of Hematologyという海外医学英文誌に見事アクセプトされ念願のPubmedに”Erina Hamada”の名前が刻まれました。
Impact factor 2.850
2019年10月に開催された日本血液学会総会で濱田江里奈先生がポスター発表をした臨床研究の解析結果を濱田先生自らが英語論文化したものです。
「80歳以上の超高齢者びまん性大細胞型B細胞リンパ腫におけるPrognostic Nutritional Index(PNI)の臨床的意義」という内容で単施設における後方視的研究です。濱田先生のポスターはなんと日本血液学会総会の”Best poster awards”に選ばれました!数多くの超優秀な専門医の皆さんを差し置いて初期研修医がこの賞を受賞するなんてとんでもない快挙なんです。
PNIは血清アルブミン値と総リンパ球から算出する簡易的栄養評価法で、治療前のPNIが超高齢者悪性リンパ腫の治療成績や予後に関連することを明らかにしました。濱田先生には高齢悪性リンパ腫症例のExcelデータベース作成から関わって頂き、PNIのスコアリング、PNIと治療成績、予後との関連について統計ソフトEZRを用いて自ら統計解析をして頂き、我々指導医とディスカッションを積み重ねた上で学会発表および英語論文化に至りました。日常臨床の忙しい中、試行錯誤をしながら慣れない統計解析に一生懸命取り組み、見事結果を出したことは本当に素晴らしいと思います。
濱田先生が統計ソフトEZRを用いて作成したKaplan-Meier曲線です。
当院では、初期研修医の先生でもやる気と情熱があれば学会発表や論文発表、臨床研究など大学病院でもあまり経験できないようなことにも積極的に取り組んで頂いています。もちろん医師としての基本的技能を習得することも重要ですが、このようなアカデミックな事にも若いうちから触れておくと将来必ず役に立ちます。医学は劇的に進歩しており、患者さんのために診療の質を向上するには医師は新しい治療に関する知識を常にupdateする必要があります。大学病院の医師だけが研究者なのではなく、市中病院にいても、クリニックにいても、離島診療所にいても、どこにいても医師は生涯研究者なのだと思います。これからも大学病院に負けないよう研修医の皆さんとともに切磋琢磨していきたいと思います。
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