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研修医日記

RESIDENT DIARY

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診療科日記 ~血液内科~

診療科日記 ~血液内科~

 皆さんこんにちは。臨床研修委員長の仲里朝周です。この研修医日記は研修医の日常や当院の魅力を皆さんに発信する目的で始めました。大変お忙しい中、研修医の皆さんにも個性的な日記を沢山書いて頂いております。しかしながら、私は臨床研修とは全く関係のない凡庸な日記を書いており、「アイツは研修医日記を私物化している」と一部の方はお怒りかもしれません。また、新病院の魅力を伝えたいという想いが空回りして外見ばかりをアピールしてしまい、真の魅力である各診療科・各部門がいかに素晴らしいかを紹介するのを怠っておりました。そこでこれからは横浜市立市民病院の魅力溢れる各診療科・各部門を徐々に紹介をしていきたいと思います。

 まず始めに誠に僭越ながら私が所属している血液内科を紹介させて頂きます。

<無菌室20床と県内最大規模>

 血液内科は横浜市の血液疾患の中核病院として、多くの血液疾患患者さんを受け入れております。当院6C病棟が専門病棟となっており39 床、うち無菌室(バイオクリーンルーム)20床を有する市中病院としては最大規模の設備を有しております。入院患者さんは常に40-50 名前後であり、県内でもトップクラスの診療規模となっています。6C病棟の熱意ある看護師と共に多職種と密接な連携を取りながらチーム医療を実践しています。

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無菌ユニットの入り口です。 

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無菌ユニット内。廊下も無菌状態です。

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個室無菌室です。トイレ・シャワーつき。

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病棟から三ツ沢球技場と富士山が見えます。

<市中病院唯一の骨髄バンク・臍帯血バンク認定施設>

 当院血液内科の最大の特徴は、骨髄バンク認定施設・臍帯血バンク認定施設であることです。横浜市内の市中病院で骨髄バンク認定施設・臍帯血バンク認定施設となっているのは当院のみです。いわゆる骨髄移植や臍帯血移植の施行が許可されているのは大学病院以外当院のみです。県内の大学病院でさえ2大学は認定を受けていません。あらゆる移植医療が可能であり、大学病院の力を借りずに診断から移植まで一貫して治療を行える自己完結型の血液内科であることが最大のメリットです。「大学病院には行きたくないけど同種移植はぜひ経験したい!」という内科専攻医が毎年定期的に学びに来てくれておりとても助かっています。

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<最新の分子標的薬を用いた化学療法の実践>

当科は造血幹細胞移植に力を注いでいますが、悪性リンパ腫や多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群などに対する最新の分子標的薬を用いた先進的な化学療法にも積極的に取り組んでいます。移植医療も移植の適応とならない高齢者の化学療法もどちらも並行して取り組んでいるところが大学病院にはない長所です。造血器悪性腫瘍以外にも特発性血小板減少性紫斑病や再生不良性貧血など血液難病疾患も最新の治療法を取り入れて診療しています。

<数多くの新薬治験に参加>

 大学病院に負けないよう新薬の治験も実施しています。治験実施施設に選ばれるのはかなりハードルが高く、通常は大学病院が中心となります。信頼しうる治験実施体制や疾患毎の年間症例数などが加味されて治験を依頼する企業が最終的に選定します。全国の1020施設に選ばれるのはとても難しいのですが、2023年現在、当科では悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群などを対象とした6つの新薬の治験実施医療機関として選定されています。多忙な日常診療の中で治験を実施するには多大な労力を要しますが、治験の実施は病院全体のステータス向上にも直結するため、今後も積極的に治験に取り組んでいきます。

<高齢者のフレイル・サルコペニアに対する独創的な取組み>

 来るべき超高齢化社会に向けて私達市中病院は早急な対策が必要です。高齢者医療では暦年齢だけでは判断できない「フレイル(虚弱)」が大きな問題となります。例えば同じ80歳の高齢者でも筋肉ムキムキの「Fit」な方もいれば、脳梗塞で寝たきりの「Frail」な方もいます。この同じ80歳の方が同じ治療法で良いはずがありません。この高齢者の「Fit」「Frail」を治療前に客観的に評価することが極めて重要となります。当科では高齢者のフレイルに関する独自の臨床研究に精力的に取り組んでいます。特に身体的フレイルの指標である「サルコペニア」(骨格筋量減少)と「アディポペニア」(体脂肪量減少)に着目しています。高精度体組成計InBodyを用いて部位別筋肉量を測定し、さらに握力・歩行速度も測定してサルコペニアの診断を行っています。この「サルコペニア」「アディポペニア」が治療成績に与える影響を様々な角度から検証しています。

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InBodyによるサルコペニアの診断

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 悪性リンパ腫においてAdipopenia群は予後不良

<大学病院に負けないアカデミックな活動>

【初期研修医も英語論文を発表】

【内科専攻医が米国血液学会(ASH)で発表】

 当院は市中病院ですが、大学病院に負けないよう学術活動も積極的に行っております。日本血液学会での発表だけでなく、臨床研究・論文発表も積極的に行っております。英語論文も多数発表しており、初期研修医や内科専攻医も当科スタッフの指導の元で英語論文を発表しています。2023年度は日本血液学会総会(東京国際フォーラム)という大きな舞台で当院初期研修医3名が堂々演題発表をしてくれました。地方会ではなく総会のため多くの血液専門医に混じっての発表であり緊張するはずですが、3名とも堂々とプレゼンしかつ質疑応答も的確に対応し本当に素晴らしかったです。また日本造血免疫療法学会総会でも別の初期研修医3名が演題発表の予定です。特にみな血液内科志望という訳ではないのですが、どの診療科をローテートしても全力で頑張るのが当院初期研修医の誇るべき姿勢だと思います。

 先述のサルコペニア研究に関しては、なんと当院内科専攻医が米国血液学会(ASH)でポスター発表をしてくれました。米国血液学会は約3万人が参加する世界最大規模の学会であり全世界の医師がASHでの発表を目指しており演題採択率も低いのですが、市中病院から世界に向けて新たな知見を発信できたこと、さらに当院の内科専攻医が異国で堂々と発表をできたことは本当に誇りに思います。

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米国血液学会(ASH)で当院専攻医がポスター発表

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研修医が優秀ポスター賞受賞

<初期研修医にも(若干の)人気>

 圧倒的にマウントをとるような誇大広告で通報されかねない診療科紹介となりましたが、決して嘘はついておりません。こんなイカツイ紹介をされると初期研修医や医学生の皆さんには専門的すぎてドン引きされそうですが、意外と初期研修医の先生方はとても興味を持って血液内科を回ってくれています。血液内科は必修科目ではなく選択科目のため、全員は回ってくれませんが毎年3分の2ぐらいの研修医が選択してくれており、本当に嬉しい限りです。血液疾患の診療では、多彩な感染症や腎不全、心不全、呼吸不全など様々な合併症に迅速に対処する必要があり全身管理を学ぶことができることが初期研修医の先生方にとっても最大のメリットだと思います。

 以上、長々と書いてしまい申し訳ございません。久しぶりに真面目な文章を書いてしまいました。やはり医学とあまり関係のない凡庸な日記の方が書きやすいですね。次はやっぱり「我が家のイグアナ紹介」、いや「我が家のウツボ紹介」にしたいと思います。

 

 次回からは、いろんな診療科の科長に診療科日記をどんどん書いてもらおうと思いますので乞うご期待下さい。

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